ダイポールアンテナ

この項では、半径が非常に細いダイポールアンテナについて考える。 このダイポールアンテナはショートダイポールと同様であるが、波長に対して小さくする必要はない(アンテナが動作する周波数において)。

長さLのダイポールアンテナをz軸方向に向け、z=0を中心とした場合、電流はz方向に流れ、次の関数に忠実に従う振幅を持つ:

この電流も周波数fで正弦的に時間振動していることに注意したい。 なお、電流のピーク値は、長さが半波長以上でないとダイポールに沿って到達しない。

Fig. 有限長のダイポールアンテナにおける電流分布

ダイポールアンテナから放射される磁場を調べる前に、以下の図2にプロットされた長さの関数としてのダイポールの入力インピーダンスを考えてみてほしい。 入力インピーダンスはZ=R + jXで表され、Rは抵抗、Xはリアクタンスである。

Figure 2. ダイポールアンテナの長さ(L)の関数としての入力インピーダンス。

非常に小さなダイポールアンテナでは、入力インピーダンスは容量性であり、これはインピーダンスが負のリアクタンス値(および比較的小さな実インピーダンスまたは抵抗)によって支配されていることに注意すること。 ダイポールが大きくなると、リアクタンスとともに入力抵抗が増加する。 0.5をわずかに下回ると、インピーダンスの虚数成分がゼロ(リアクタンスX=0)となり、アンテナは共振すると言われている。

ダイポールアンテナの長さが1波長近くになると、入力インピーダンスは無限となる。 この入力インピーダンスの乱高下は高周波伝送線路の理論を勉強すれば理解できる。 より簡単な説明として、図1に示す1波長のダイポールを考えてみよう。 図1の右側のアンテナの端子に電圧をかけると、図のような電流分布になる。 端子の電流はゼロなので、入力インピーダンス(Z=V/Iで与えられる)は必然的に無限大となる。 その結果、ダイポールアンテナが波長の整数倍であればいつでもインピーダンスが無限大になる。

次章では、ダイポールアンテナの放射パターンを考えてみよう。

ダイポールアンテナの放射パターン

長さLのダイポールアンテナからの遠方界は次のように与えられる:

種々の長さのダイポールアンテナの正規化放射パターンは図3に示すとおりである。 Normalized radiation patterns for dipole antennas of specified length.

full-wavelength dipole antenna is more directional than the short quarter-wavelength dipole antenna.全波長のダイポールアンテナは、短い1/4波長のダイポールアンテナより指向性が強い。 これはアンテナ理論における典型的な結果で、指向性を高めるには一般に大きなアンテナを必要とします。 しかし、その結果は必ずしも明らかではありません。 図3には、1.5波長ダイポールのパターンもプロットされています。 このパターンは約+45度と-45度で最大となることに注意してください。

ダイポールアンテナはアジマス方向(ダイポールの長軸周り)に見ると対称であり、その結果、放射パターンはアジマス角の関数にはならないのです。 従って、ダイポールアンテナは無指向性アンテナの一例である。 さらに、Eフィールドは1つのベクトル成分のみを持ち、その結果、フィールドは直線偏波となる。 x-y平面で見ると(z軸に沿ったダイポールの場合)、Eフィールドは-y方向にあり、結果としてダイポールアンテナは垂直偏波となる。

1波長ダイポールアンテナの3Dパターンを図4に示す。 このパターンは1/4波、1/2波ダイポールアンテナのパターンと類似している。

Figure 4. 1波長ダイポールアンテナの正規化3D放射パターン。

1.5波長ダイポールアンテナの3D放射パターンは大きく異なり、図5に示すように、

Figure 5. 1.5波長ダイポールアンテナの正規化3次元放射パターン。

ダイポールアンテナの(ピーク)指向性は、図6のように変化する。

Figure 6. ダイポールアンテナの指向性とダイポール長の関係

図6から、L=1.25程度までは長さと共に指向性が増加することがわかる。 しかし、それ以上の長さでは指向性は上昇傾向を示すが、もはや単調ではない。

次に、最も一般的なダイポールアンテナである半波長ダイポールアンテナについて見ていきます。 半波長ダイポールアンテナ

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