ウラエウス

ファラ・ツタンカーメン(前1346-1337)の王座の裏側にある、頭に太陽の円盤をつけた4体の黄金のウラエイオコブラ像です。 王家の谷、テーベ、新王国時代(第18王朝)

ウラエイオスは女神ワジェトの象徴である。 彼女は最古のエジプトの神の一人で、蛇の女神であることからコブラの姿で描かれることが多かった。 彼女の信仰の中心はペル・ワジェトで、後にギリシア人がブトと呼ぶようになった。 彼女はナイル・デルタの守護神となり、下エジプト全体の守護神となった。 ファラオはウラエウスを頭の飾りにしていた。ワジェトの体を頭の上に乗せたり、冠をかぶせたりして、ワジェトの保護を示し、ファラオの土地に対する権利を強化するものであった。 ウラエウスがどのような形でファラオの頭の上に飾られたとしても、それは実質的にファラオの冠の一部であった。 ファラオはウラエウスを身につけることで、初めてその支配者としての正当性を認められるのである。 この伝統は、紀元前3千年頃の古王国時代にも確認されている。

エジプト統一の際、統一エジプトを統治するファラオの冠を包むウラエウスには、白い禿鷹として表され上エジプトの守護神と同じ地位にあった女神ネクベトの像が、ワジェトの像と共に描かれている。 この2つの神々は別々に信仰されていたため、多くのエジプトの神々のように統合されることはなかった。

その後、ファラオは太陽神ラーの化身とみなされ、ウラエウスは女神の燃えるような目から敵に火を放ち、彼らを守ると信じられていた。 神話作品では、ラーの目がウラエイであるとされるものもある。 ワジェットはこの教団が台頭するずっと以前から存在し、その起源はワジェットの眼をコブラに見立てたものである。 ワジェトはまた、月の目、ハトホルの目、ホルスの目、ラーの目と呼ばれるシンボルの名前でもある。

ウラエウスが王家のシンボルとみなされたため、ホルスとセトの神々も王冠にそのシンボルを付けて描かれた。 初期の古代エジプト神話では、ホルスは女神イシスの息子として認識され、多くの称号の一部として王に与えられた名前であったろう。 後世のRe神話によれば、最初のウラエウスは、女神イシスが大地の塵とその時の太陽神の唾液から作ったとされている。 この神話では、ウラエウスはイシスがオシリスのためにエジプトの王位を獲得するための道具であったとされている。

下エジプトの赤い王冠を持つウラエウス。 エジプト後期、前664-332年

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